2025.11.26
動画広告TVer広告の仕組みとは?秒数や配信方法などの基本を解説

若年層を中心にテレビ離れが進む中、かつてのように地上波テレビCMだけでは見込み客に十分リーチできないケースが増えています。このような状況で注目を集めているのが「TVer広告」です。
TVer広告は、テレビ広告の信頼性とWeb動画広告の柔軟な配信ターゲティングを組みあわせた、今注目の動画配信サービス上の広告媒体です。企業のマーケティング施策の中でも、TVer広告を採用・検討する企業が年々増えています。
しかし、比較的新しい広告媒体であるため、TVer広告の仕組みがよくわからず困っているという方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、TVer広告の仕組みについてWeb広告代理店が徹底解説します。TVer広告への出稿を検討しているマーケティング・広報・宣伝担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
TVer広告とは
TVerとは、民放各局が共同で運営する国内最大級の「見逃し無料配信動画サービス」のことです。ドラマ・バラエティ・アニメ・報道番組など多彩なジャンルを、放送終了後から一定期間(多くは1週間前後)無料で視聴できます。
「テレビはあまり見ないけれど、好きな番組だけTVerで見る」というユーザー層も多く、TVerアプリの累計ダウンロード数は2024年11月時点で8,000万を突破しています。地上波テレビに次ぐリーチ力をもつ、国内でも屈指の動画配信プラットフォームです。
そんなTVerでは、番組視聴中に配信される動画広告(TVer広告)を出稿できます。テレビCMのような視認性と、インターネット広告のようなデータ分析・ターゲティング設定の両方を活かせるのが特徴です。
TVer広告のメリット・特徴
TVer広告のメリット・特徴としては、次の3点が挙げられます。
- 視聴完了率が高い
- 詳細なターゲティングが可能
- テレビを見ない層にも訴求できる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
視聴完了率が高い
TVer広告の最大の特徴が、視聴完了率の高さです。一般的なインストリーム広告(スキップ可能な動画広告)の完全視聴率は約20〜40%程度といわれていますが、TVer広告はスキップ不可(ノンスキッパブル)形式のため、非常に高い完視聴率を誇ります。
以下は、TVer公式サイトで公開されている動画尺ごとの完全視聴率データです。
| 広告の尺 | 完全視聴率 |
|---|---|
| 6秒 | 95% |
| 15秒 | 94% |
| 30秒 | 93% |
| 60秒 | 91% |
出典:TVer公式サイト
もっとも長い60秒の動画広告でも91%以上が最後まで視聴しており、商品やサービスの魅力をしっかりと伝えられる広告媒体といえます。
詳細なターゲティングが可能
TVer広告は、テレビ広告に比べて詳細なターゲティングができる点も大きな強みです。
従来のテレビ広告が幅広い層への認知拡大に強みを持つ一方で、TVer広告では会員登録データを活用することで、年齢・性別・地域などの属性を細かく設定可能。さらに視聴データや購買データも活用できるため、狙いたい層に的確にメッセージを届けられます。
つまりTVer広告は、テレビの影響力をそのままに、無駄のない効率的な広告配信を実現できる手法といえるでしょう。
関連記事:TVer広告のターゲティング【完全版】広告効果を最大化するコツとは
テレビを見ない層にも訴求できる
冒頭でも触れたとおり、普段テレビを見ない層でも、好きなドラマや話題の番組だけはTVerで視聴するケースが多く見られます。そのため、テレビCMではリーチしにくい若年層やネット視聴中心のユーザーにも、確実に広告を届けられるのがTVer広告の大きな魅力です。
また、TVerはスマートフォンやタブレットでの視聴が中心であるため、通勤・通学や就寝前など、生活のスキマ時間に広告が届く点も特徴です。視聴者が“自分のタイミングで番組を選んでいる”という状況下で配信されるため、広告も受け入れられやすく、印象にも残りやすい傾向があります。
スキップされない動画広告として、商品やサービスの魅力をしっかり伝えたい場合に最適な手法といえるでしょう。
TVer広告の配信方法
TVer広告には、大きく分けて「セルフサーブ」と「フルマネージド型」の2つの運用方法があります。どちらもテレビCMと同じ動画広告を配信できますが、運用方法に違いがあります。
セルフサーブ型
セルフサーブ型配信は、広告代理店や企業が自社で運用を行う方法です。
TVerのユーザーデータ(年齢・性別・地域・デバイスなど)をもとに、配信条件やターゲットを柔軟に設定できるため、短期間でも効果検証しやすいのが特徴です。自由度が高く、テストマーケティングや期間限定キャンペーンにも適しています。
また、配信後のレポートを自社で確認・分析できるため、PDCAを素早く回すことが可能です。
たとえば、「特定地域での新商品を短期間だけ告知したい」「複数の動画素材をABテストで比較したい」といったケースでは、最も効率的に運用できる配信方法といえるでしょう。
フルマネージド型
フルマネージド型配信は、広告配信開始前に枠が確保され、配信前から表示回数と表示単価(CPM)が確定しています。
表示回数を事前に確約できるため、計画的なメディアプランニングが可能で、予算管理もしやすいのが特徴です。
また、番組ジャンル・時間帯・視聴傾向などにあわせて、信頼性の高い番組コンテンツ内で配信されるため、ブランドイメージを損なわず安心して露出を行えます。

TVer広告の配信先
TVer広告の配信先は、次の3つに大別されます。
- TVerサイト・アプリ
- 民放各局の自社サービス
- 外部提携サイト(シンジケーション)
それぞれの特徴を解説していきます。
TVerサイト・アプリ
TVer公式アプリやWebサイトで再生される番組の前後・途中に広告が配信されます。
もっとも多くのユーザーが利用しているTVer本体での配信は、番組視聴に集中している環境で広告が再生されるため、視聴完了率・ブランド認知・記憶定着率が高いことが特徴です。
また、TVerでは民放5局(日本テレビ・テレビ朝日・TBSテレビ・テレビ東京・フジテレビ)が共同で運営しており、バラエティ・ドラマ・報道・アニメなど幅広いジャンルの番組が視聴されています。そのため、テレビCMに近いマスリーチを保ちながらも、Web広告のようにターゲティング精度や効果測定を活かした運用が可能です。
さらに、スマートフォン・PC・コネクテッドTV(CTV)など複数デバイスでの視聴に対応しており、テレビ視聴層とデジタル視聴層の双方に自然な形でリーチできるのも大きな利点です。
民放各局の自社サービス
TVer広告の一部は、民放各局が独自に運営する動画配信サービス(FOD、TBS FREE、テレ朝動画など)にも展開されます。
これらのプラットフォームは、それぞれで視聴者層や番組ジャンルに特色があり、ドラマ・バラエティ中心のFOD、報道・情報番組を多く扱うTBS FREEなど、コンテンツの傾向が異なります。そのため、配信する広告の内容と番組ジャンルの親和性を意識することで、より効果的なリーチが可能です。
こうした各局独自サービスでの広告配信は、番組ファンや特定ジャンルに関心の高い視聴者層へ深く訴求したい場合に最適です。
外部提携サイト(シンジケーション)
TVer広告は、TVer本体に加えて、ニコニコチャンネルなどの外部動画サイトへ配信されるケースもあります。このような外部配信を「シンジケーション配信」と呼び、TVer以外のプラットフォームでも番組系コンテンツを視聴しているユーザーに広告を届けられる仕組みです。
これにより、TVer未利用層や他プラットフォーム中心の視聴者層にもアプローチでき、テレビCMでは届きにくい層へのリーチ拡大にもつながります。
Tver広告のターゲティング
TVer広告では、ユーザー属性や視聴傾向などに基づき、多様なターゲティング手法を組みあわせて配信することができます。主な設定項目は次のとおりです。
| 属性ターゲティング | TVerの会員登録データを活用し、 地域・年代・性別などの基本属性に応じたターゲティング |
| 番組ジャンル指定ターゲティング | 番組ジャンルを指定または除外し、 視聴傾向にあわせたターゲティング |
| 興味・関心ターゲティング | TVer独自の1st Party Dataを活用し、17種類のカテゴリーから ユーザーの嗜好に基づいたターゲティング |
| テレビ視聴データ連携ターゲティング (TVBridge Ads) | 視聴データとTVerユーザーデータを突合し、 特定番組やジャンルの視聴状況に応じたターゲティング |
| コンビニ購買データ活用ターゲティング (Red TVer PMP) | LAWSON・Tomod’sなどの購買データを活用し、 実際の購買行動に基づいたターゲティング |
| 位置情報システム活用ターゲティング (Red TVer PMP) | 市区町村・商業施設・鉄道路線・商圏エリアなどの位置情報を活用し、 特定エリアに絞ったターゲティング |
| タウンページデータベースターゲティング (Red TVer PMP) | タウンページ業種データを活用し、 特定の事業所勤務者や施設利用者に向けたターゲティング |
関連記事:TVer広告のターゲティング【完全版】広告効果を最大化するコツとは
TVer独自の機能だけでも高精度なターゲティングが可能ですが、DSP(Demand-Side Platform)を活用することで、より柔軟で詳細な広告配信が行えます。
DSPとは、広告主や代理店が複数の媒体に対してユーザー単位で効率的に広告を配信できるプラットフォームのことです。これを利用することで、TVer広告では外部データと連携したターゲティングやリターゲティングも可能になります。
TVBridge Ads
TVer広告で利用できる高精度ターゲティングDSP。
大手テレビメーカーが生産する約1,000万台のインターネット接続テレビ(コネクテッドTV)から得られるテレビ視聴データを集約し、TVerのユーザーデータと照合することで、特定番組やジャンルの視聴者を指定・除外できる。
Red TVer PMP
TVer広告におけるもうひとつのデータ活用型DSP。位置情報・住宅地図・購買履歴・業種データなど、さまざまな外部データソースと連携し、TVerユーザーを高精度にターゲティングできる。
データソースの例:位置情報、ゼンリン住宅地図データ、LAWSON・Tomod’sの実購買データ、タウンページ など
Tver広告の種類と配信されるタイミング
TVer広告は配信されるタイミングによって、次の3種類に分類されます。
- プレロール(番組の前)
- ミッドロール(番組の合間)
- ポストロール(番組終了後)
それぞれのタイミングについて解説していきます。
プレロール(番組の前)
プレロール広告は、番組が再生される直前に必ず表示される形式の広告です。
視聴者が番組を選び、再生ボタンを押した瞬間に再生されるため、全ユーザーに均等にリーチできるのが最大の特徴です。テレビCMでいう「番組提供前CM」に近い位置づけで、視聴者が最も集中しているタイミングで確実にメッセージを届けられます。
とくに、新商品やキャンペーンの告知など、短期間で多くのユーザーに確実に見てもらいたい施策に適しています。番組再生前に必ず再生されるため、広告をスキップされる心配がなく、効率的に認知を広げられます。
ミッドロール(番組の合間)
ミッドロール広告は、番組の途中に自動で挿入される形式の広告です。番組を継続して視聴しているユーザーに配信されるため、視聴意欲が高く、広告への集中度も維持されやすいのが特徴です。
番組コンテンツの流れを途切れさせずに挿入されるため、視聴者の興味を保ったまま自然にメッセージを届けられます。そのため、ブランドストーリーや商品の理解促進など、一定の視聴時間を確保して訴求したい内容に適しています。
ポストロール(番組終了後)
ポストロール広告は、番組の本編が終了した直後に自動再生される形式の広告です。最後まで番組を視聴したユーザーに配信されるため、コンテンツへの没入度が高く、広告にも受容的な層にリーチできるのが特徴です。
番組の余韻とともに再生されることで、感情に寄り添ったメッセージを自然に届けやすく、ブランドイメージの形成や好意度向上に効果的です。また、番組を最後まで視聴するユーザーは、興味関心が高く離脱率の低い“ロイヤル層”であることが多く、ターゲティングの質を高めたい場合にも適しています。
Tver広告の秒数
TVer広告は、動画の長さ(尺)を自由に設定できる点も大きな特徴です。6秒から60秒まで1秒単位で調整でき、目的や訴求内容に応じて最適な長さを選択できます。
ここでは、代表的な4つの秒数フォーマットについて紹介していきます。
6秒広告
6秒広告は、TVer広告の中で最も短い動画フォーマットです。
短時間で強い印象を与え、ブランド想起や商品の認知を効率的に高めることを目的としています。尺が短いため視聴離脱が少なく、最後まで視聴されやすい点が特徴です。
「商品名+ビジュアル+キャッチコピー」といった、わかりやすい構成が効果的で、繰り返し配信することで、ブランド名やメッセージが自然に記憶へ定着し、長期的な認知向上にもつながります。
15秒広告
15秒広告は、商品理解を促す標準フォーマットです。テレビCMでも最も一般的な尺であり、TVer広告でも活用範囲が広い形式です。
テンポよく映像とナレーションを組みあわせることで、短時間でもストーリー性を出せます。また、テレビCM素材をそのまま活用できるケースも多く、コストを抑えながらTVerでも認知を拡大したい企業におすすめです。
30秒広告
30秒広告は、TVer広告の中でも「理解」と「共感」を生みやすいバランス型のフォーマットです。短尺広告では伝えきれない商品価値やブランドの背景を丁寧に描けます。
ブランドストーリーやメッセージを浸透させたい施策に効果的で、新サービスの紹介や企業メッセージの訴求など、「伝える」と「印象づける」を両立したい広告に最適です。
60秒広告
60秒広告は、TVerならではの高い完視聴率を最大限に活用できる長尺フォーマットです。
企業やブランドの世界観をストーリーとして描きたい場合や、感情に訴えるブランディング広告に適しています。
長尺だからこそ、映像や音のテンポに緩急をつけて展開し、視聴者を飽きさせずに引き込む演出が重要です。映像や音楽、ナレーションを効果的に組みあわせることで、物語として“体験させる”ような没入感を生み出せます。
Tver広告動画の入稿規定
秒数以外の入稿規定は、次のように定められています。
| 項目 | ハイレート (SD/PC) | プレミアムレート (CTV) |
|---|---|---|
| ビデオサイズ (px/ピクセル) | (W) 1280 × (H) 720 | (W) 1920 × (H) 1080 |
| 映像アスペクト比 | 16:9 | |
| 音声タイプ | ステレオ (モノラルは疑似ステレオ) | |
| 総ファイルサイズ | 12MB以内(15秒素材:6MB推奨) | 18MB以内(15秒素材:9MB推奨) |
参考:広告入稿規定|TVer
スマートフォンやPC向けの標準画質と、コネクテッドTV(CTV)など大画面向けの高画質再生とで、最適なデータ形式が異なるため、テレビアプリ向けに配信する場合は、ハイレートとプレミアムレートの両方のデータを入稿します。一方、テレビアプリへの配信を行わない場合は、ハイレートのみの入稿でも問題ありません。
動画を制作する際は、上記の規定サイズ・容量を満たしているかを事前に確認しておくことが重要です。
TVer広告に出稿する流れ
TVer広告を出稿する際は、以下の5つのステップで進みます。
- 代理店へ相談・打ち合わせ
- 業態考査・商材審査
- 広告発注
- 動画素材審査
- 配信開始
まずはTVer広告を扱う代理店へ相談し、広告の目的やターゲット、配信スケジュールをすりあわせます。動画素材がない場合は、制作から配信まで一括で対応できる代理店に依頼するとスムーズです。
次に、業態考査・商材審査が行われます。会社概要や商材情報を提出し、広告内容に問題がないか確認されます。審査には1〜2週間かかることもあるため、余裕をもって準備しましょう。
審査通過後は広告を発注し、素材とターゲティング設定を最終確認します。その後、動画素材審査が行われ、内容や表現が基準に沿っているかチェックされます。修正が必要になる場合もあるため、ガイドラインの事前確認が重要です。
すべての審査を終えると配信がスタートします。初期は効果をモニタリングしながら設定を調整し、PDCAを回すことで広告効果を高めていきましょう。
Tver広告の課金形態
TVer広告の課金形態は、次の3種類です。
| 課金形態 | 仕組み | 特徴・活用のポイント |
|---|---|---|
| CPM課金 (固定単価形式) | 広告が1,000回表示されるごとに課金 | ・単価を固定できるため配信コストの管理がしやすい ・計画的に運用したい場合に適している ・フルマネージド配信やDSP配信で主に採用される |
| CPM課金 (オークション形式) | CPMでありながら、広告枠を競り合う形で単価が変動 | ・タイミングによって安価に配信できる可能性がある ・テスト出稿や小規模予算で試したい場合に向いている |
| CPCV課金 (オークション形式) | 広告を最後まで再生した時点で課金 ※完全視聴とは、動画を最後まで、または設定上限の秒数まで視聴した状態 | ・実際に視聴された分だけ課金される ・費用対効果が高く、視聴品質を重視するキャンペーンに適している |
テレビCMは出稿枠に対して費用を支払うことになりますが、TVer広告は目的や予算に応じて柔軟に課金方式を選べることが特徴です。
どの課金形態で出稿すべきかは、広告を出す目的、競合の状況などによって異なるため、広告代理店に相談してみてください。

TVer広告の出稿金額相場
最低出稿金額は一般的に50万円目安とする代理店が多く、テレビCM(一般的に100万円以上)と比べると、出稿しやすい金額になっています。
※JPC(アドマーケット)の料金体系は「月額最低広告費10万円+運用費(月額出稿費の20%・100万円以上の場合は15%)」であるため、最低12万円からTVer広告に出稿できます。
課金形態はCPM(1,000回表示あたりの課金)で、配信尺によって単価が異なります。6秒から60秒までの範囲で、おおよそ2,000円台前半〜4,000円台半ば程度が目安です。
フルマネージド型配信(インタラクティブ要素や特別枠を含む形式)の場合は、セルフサーブ型配信よりやや高めの設定となり、数百円程度上乗せされるイメージです。
CPM(Cost Per Mille)
1,000回表示あたりの広告費。
表示回数をベースにした指標で、主にブランド認知系のキャンペーンや動画広告・ディスプレイ広告で重視されます。
このように、CM尺が長くなるほど単価は上がるものの、配信の質や訴求時間も確保できるため、目的に応じた柔軟なプラン設計が可能です。また、課金形態や配信メニューの組みあわせによって費用対効果が変動するため、目的・予算にあわせた設計を広告代理店と相談するのがおすすめです。
関連記事:TVer広告の料金・費用とは?出稿方法・課金の仕組みについても解説
TVer広告と他動画広告の違い
動画広告を出稿するというと、YouTube広告かテレビCMを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。それらの動画広告媒体と、TVer広告にはどのような違いがあるのか、詳しく見ていきましょう。
YouTube広告との違い
TVer広告とYouTube広告の違いとしては、「視聴完了率」「配信環境」が挙げられます。
まず、YouTube広告は基本的にスキップ可能な形式が多く、一般的な完全視聴率は2〜4割程度といわれています。視聴者が早送りやスキップを前提としているため、冒頭数秒で印象を残す工夫が欠かせません。
近年はスキップ不可の30秒広告も登場しましたが、「YouTube=スキップできる」という認識が強く、ユーザーにストレスを与えるリスクもあります。
一方、TVer広告はもともとスキップできないフォーマットとして受け入れられており、番組の合間など自然なタイミングで広告が挿入されます。そのため、視聴者に不快感を与えにくく、高い視聴完了率を維持できるのが特徴です。
また、配信環境の信頼性という点でも両者は異なります。YouTube広告は誰でも出稿可能なのに対し、TVer広告はテレビCMと同様に審査を通過した企業・素材のみが配信対象です。そのため、TVer広告を出稿しているという事実自体が、ブランドの信頼性や安心感を高める効果にもつながります。
参考記事:【徹底解説】YouTube動画広告のメリットとデメリット
テレビCMとの違い
TVer広告とテレビCMは似ている点も多いですが、「費用対効果」と「ターゲティング精度」という2つの点で大きな違いがあります。
まず費用面では、テレビCMは基本的に放映する時間帯(枠)を購入する仕組みです。短期間で多くの視聴者にリーチできる反面、視聴率や番組内容によって想定よりも費用対効果が下がるリスクもあります。また、エリア単位での出稿が中心となるため、地域を越えた柔軟な配信や、結果に基づく運用改善は難しいのが実情です。
一方、TVer広告は1,000回表示単位で課金されるため、配信費用とリーチ数の関係性が明確です。
ターゲティングの面でも、テレビCMは番組ジャンルや放映時間などによるおおまかな属性指定しかできません。しかし、TVer広告は、会員データ・視聴データ・購買データなどを活用し、地域・年齢・興味関心まで細かく設定できるため、無駄のない配信設計が可能です。
テレビのリーチ力と、Web広告の精度をあわせもつのが、TVer広告の最大の特徴といえるでしょう。
参考記事:テレビCMのメリットとは?効果を引き出すコツも徹底解説!
TVer広告の出稿にあたって知っておくべき4つのポイント
最後に、TVer広告の出稿にあたって知っておくべき4つのポイントについて紹介します。
- 配信素材の審査が厳しい
- 配信対象は絞りすぎないほうがいい
- クロスメディア戦略が重要
- 広告代理店によって実力に差がある
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
1.配信素材の審査が厳しい
TVer広告の動画素材考査は、テレビCMと同等レベルの基準で厳しくチェックされます。Web広告やSNS広告と比べても審査項目が多く、とくに景品表示法や薬機法などの法令遵守は重点的に確認されます。
そのため、表現の仕方ひとつで審査通過が遅れるケースも少なくありません。事前に原稿段階での法令チェックを行い、ナレーション・テロップの文言まで確認しておくことが重要です。
動画素材審査で配信不可と判断されるリスクを防ぐには、TVer広告やテレビCM制作に精通した映像制作会社に依頼するのが安心です。
アドマーケットでは、TVer広告に最適化した構成・表現での映像制作実績が多数ありますので、安心してお任せください。

2.配信対象は絞りすぎないほうがいい
精緻なターゲティング機能がTVer広告の魅力ですが、あまりに配信対象を絞るとリーチ数が伸びず、配信効率が悪化してしまいます。そのため広告代理店と相談しながら、配信初期はある程度ターゲットを広くし、配信結果を見て徐々に調整することを意識してみてください。
TVer広告は一定の配信量をもとに視聴傾向や反応率を学習し、最適化が進んでいく設計になっているため、データを蓄積する意味でも初期段階では広い設定が有利です。また、ターゲットを限定しすぎるとリーチが偏り、ブランド認知や比較検討層への接触機会を失うリスクもあります。
分析フェーズでは数値だけでなく、どの層から反応が得られているかにも注目してみましょう。
3.クロスメディア戦略が重要
TVer広告の効果を最大化するには、テレビCMやWeb広告、SNS、LP(ランディングページ)などと連携したクロスメディア戦略を意識することが重要です。
TVer広告は単体でも効果がありますが、他の媒体と連動させることでリーチの拡大・興味喚起・行動促進のすべてを強化できます。
たとえば、TVer広告で商品やサービスに興味をもったユーザーに対し、SNS広告でキャンペーン情報を再訴求し、Webサイトで詳細や購入ページへ誘導するといった流れです。このように企業が発信する複数のメディアを連動させることで、認知から購買まで一貫した体験を設計できます。
また、テレビCMと併用することで、テレビで広く認知を獲得し、TVerで精度の高いターゲティングとデータ分析による改善を行う、効果的なマーケティングサイクルが実現します。
つまりTVer広告は、単体では得られない「横の広がり」と「縦の深まり」を両立させる、クロスメディア戦略の中心的な存在といえるでしょう。
4.広告代理店によって実力に差がある
ここまで紹介したとおり、TVer広告には多様な機能と配信手法があり、効果を最大化するには仕組みを正しく理解したうえで戦略を設計する必要があります。
しかし、すべての広告代理店がTVer広告に精通しているわけではなく、運用ノウハウや実績の差が成果に直結する点には注意が必要です。
とくにクロスメディア戦略を行う場合、テレビ・TVer・Web広告それぞれの特性を理解したうえで、媒体を横断した一貫性のある設計とデータ分析が求められます。代理店を選ぶ際は、これまでのTVer広告の運用実績や、テレビCM・デジタル広告を含めた総合的な提案力があるかを必ず確認しましょう。
まとめ
TVer広告は、テレビの信頼性とデジタル広告の柔軟性を兼ね備えた、これからの時代に欠かせない動画広告媒体です。一方で、多機能であるがゆえに運用設計は複雑で、成果を上げるには専門的な知識と経験が求められます。
当社アドマーケット(JPC)は、映像制作から広告運用までをワンストップで対応。豊富な運用実績をもとに、各媒体の特性を踏まえたターゲティング設計やクロスメディア戦略など、TVer広告の成功をトータルでサポートします。
無料の配信シミュレーションにも対応しておりますので、TVer広告の導入を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。