Googleは2023年5月17日にコネクテッドTV(インターネットに接続したテレビでのYouTube視聴)向けのYouTube Selectで30秒ノンスキップの広告フォーマットを導入することを発表しました。YouTube Selectとは要件を満たしている広告主向けの予約型広告となり、運用型の広告とは異なります。これは、登録者数・視聴数が多く、またセンシティブな動画コンテンツを配信していない上位5％の優良なYouTubeチャンネルに広告を配信できるものです。YouTubeでは、スキップ不可動画は6秒のバンパー広告と15秒のスキップ不可のインストリーム広告のみでしたが、今後は30秒と長尺のクリエイティブで配信することができることになります。

スキップ不可の30秒広告の対象デバイスはテレビのみです。過去にYouTubeはスキップ不可の30秒動画を配信していたことがありますが、2018年に廃止されました。

テレビ向けに配信されるという点ですが、ここ最近のYouTubeのトレンドとして、テレビ番組のような30分、1時間以上にも昇る長尺なコンテンツが目立ち、また、TVで視聴されるケースが急増していることが導入の後押しとなった模様です。例えば2022年12月時点の調査によると、YouTubeは「米国のコネクテッドテレビで1億5000万人以上に視聴されている」というデータもあります。YouTubeをまるでテレビのように視聴する、そういった状況において、スキップができない場合でもそれほど不快感をユーザーに感じさせずに配信することができると考えられています。実際に、YouTubeは「大画面で長尺のクリエイティブを流すことはお客様の目的に合致」と意見を述べています。

このテレビ向けの30秒ノンスキップの広告においては、配信されている広告に対してユーザーが広告を一時停止することも可能と発表されています。これまでテレビに配信された広告はCTA表示オプションが付けられず単純に動画の視聴のみでしたが、広告に興味を持ったユーザーに対して、よりその商品やサービスについて深い認知や、購入など次の行動に繋げられることができるとされます。

スキップ不可の30秒広告はまずアメリカで実施され、2023年後半には日本でも展開される予定となっています。動画を30秒一貫としてユーザーに見せることができることから、より多くの情報を盛り込むことができます。出稿方法についてはマストヘッド広告などと同じく、取り扱う正規代理店を通すことになります。

ちなみに、今回の対象はテレビのみでスマートフォンユーザー向けではなく、YouTubeはテレビ以外のデバイスでこの新しい広告を配信するかは明記していませんので、現時点ではスマートフォンやPCへのスキップ不可の30秒広告はないと思っていて良いでしょう。